パンジーは、障害者の隔離政策に異議を唱え、地域であたりまえに生きていくことをめざしてきた団体である。そして、パンジーを始めるにあたって、「普通の施設にしない」ために施設に対する価値観と合理性をひっくり返し、さまざまなことを試みた。
ハード面で施設の施設たるものを排した
それは、地域の人たちを容易に寄せつけない白い壁面と、鍵のある部屋と、小さい窓から来意を告げなければならない事務室の位置である。部屋には鍵がなく玄関は自動ドアのため、どこへでも自由に行くことができる。最初の頃、不安を感じた保護者から監視カメラをつけて欲しいなどの要望がでた時期もあった。また、事務室を2階においたため、来訪者がまず声をかけるのは、知的障害を持つ当事者の人たちになることが多くなった。そして、地域の人が気軽に出入りできる雰囲気にしたため、従来の施設をイメージして初めて訪れる人は、パンジーだと思わず、よく前を通り過ぎた。
知的障害者が主役である
理事や職員のための施設ではない。施設の運営についても、できるだけ当事者の意見が反映できるようにした。そのため、当事者の会議として「どらえもん会」をおき、理事、職員、当事者、保護者で構成される運営委員会にはどらえもん会役員として出席し、平等な発言と議決の権利を持つシステムとした。会議の内容がおもしろくないのか、最近は、ほとんど参加しなくなっている。再度、出席することの意味を伝えたいと思っている。
へたな指導だったらしない方がまし
当時者と職員の立場の違いは認識しなければならないが、指導する側とされる側の壁をできるだけ薄くするよう試みた。例えば、先生と呼んでもらわない、当時者も職員も呼んでもらいたい名前で呼びあう、ユニフォームを着ない等である。また、職員は悪しき専門家に陥らないため、最初の2年間は、事務や食事のメニュー作りやガイドヘルパーのコーディネートなど、あらゆることをこなした。そして、指導ではなく、あたりまえのつきあいを大切にした。
とにかく外に出る
施設内でできることが、外ではできることにはつながらないことが多い。そのため、作業より外に出て経験から学ぶことを大切にした。パンジーを訪れた人がとまどうのは、作業時間にたばこを吸ったりコーヒーを飲んでいることや、昼食後にコンビニや喫茶店に行ったりすること等である。これは、外に出る経験を大切にしてきた結果であるが、反面、時間にルーズになった時期もあった。現在は、時間を、集団で活動していくためのお互いのルールとして捉え、みんなで声をかけあっている。
林 淑美
(『“自己実現を展く環境”を創る』より転載)
2000-10-21
普通の施設にしないことの意味
posted by パンジー at 19:29
| 理念
