2000-10-21

だれもが抑圧されない社会の創造

法人化への動きを始めて2年後の1993年3月、知的障害者通所授産施設クリエイティブハウス「パンジー」はオープンした。以上の経過を見てもわかるように、オープンしたパンジーがめざしたものは、「知的障害者が地域で自立生活を送るためのシステム作り」であり、目標に向けてさまざまな新しい試みを続けてきた。そして、2000年4月、もう一つの通所授産施設と自立生活支援センター「わくわく」をたちあげた。これからの方針を考えるにあたり、私たちがめざしてきたことを改めて確認しておきたいと思う。

 私たちが生活してる近代社会は、能力主義の社会である。能力主義社会では障害者は差別され排除される。そして、労働力を持つ可能性のある障害者のみが援助の対象となってきた。また、障害者は人々からスティグマ(恥辱の烙印)を付与され、憐れみや蔑みの対象とされてきた。こういう社会のあり方を変えようとしたのが、障害者解放運動である。日本の障害者解放運動は、自立の思想と差別のない社会の構築と、障害者の否定につながる優性思想との対決を非常に重要なものと捉えてきた。それは、それまでの障害者の生き方が専門家によって決められ、障害を克服し健常者に近づくことのみが目標とされ、克服できない者は施設に追いやられてきたためである。

 私たちは、施設に対置するものとして「自立」という言葉を簡単に使いがちであるが、自立とは、障害者が施設から出たり、家族から離れて一人で生活するという障害者自身の努力で成り立つ生活様式だけを意味するものではない。障害者が人間として認められ、自己決定権が保障されることと、社会を構成する人たちが、「一人ひとりがかけがえのない存在である」という価値観を共有することが必要である。それは、個人の多様性を認め、だれもが抑圧されない関係性を保つことができる社会の創造であるとも言えよう。

林 淑美
           (『“自己実現を展く環境”を創る』より転載)
posted by パンジー at 20:24 | 理念